記事2026/08/08

ツール製作日誌:バイブコーディングで試行錯誤

 今年の3月から4月あたりに、バイブコーディングでの自分用ツール開発を色々試みていた。

 ツール一つ一つについて記事を書こうかと思っていたが、あまりそうする意味はないような気がしたので、用語集の方にツールのページを作り、まとめて振り返る記事を一本書くことにした。

やっていたこと

 作っていたのは以下のツール。いずれも公開はしていないがリンク先にスクリーンショットを貼ってある。

  • PD Outliner(Dynalistクローン的なアウトライナー)
  • Blog Editor(サイト記事執筆用Markdownエディタ)
  • BBS Memo(匿名掲示板風メモアプリ)
  • TextNote(フォルダ単位の文字数カウント付き2ペイン型テキストエディタ)
  • ActivityLog(日・週・月単位で管理可能な日記アプリ)
  • StickyBoard(多機能ホワイトボード・付箋アプリ)

 多くは以下の手順で開発。

  1. mdファイルにツールの仕様、欲しい機能を書いて指示書を作る
  2. Claudeに指示書.mdを渡して叩き台を生成してもらう
  3. ローカルに作業ディレクトリを用意
  4. Gemini CLI(現在はAntigravity CLI)を起動し、GEMINI.mdを生成させ、以後CLIで改良作業
  5. 自分で直せるものは自分で直すこともある

 ツールの実行環境ほかは以下の通り。

  • コードはTypeScript+SCSSで書いてもらう
    • 自分が理解・介入できるようにするため
  • DenoでEsbuildを実行してバンドル
  • ローカルサーバーを立てて実行
  • データはローカルのmdファイルまたはjsonファイルに保存

所感

 自分がイメージさえ持っていれば、それをAIに伝えるだけでかなりのことを正確に汲み取って自動で作ってくれる。生成AI登場以前には考えられなかったような驚くべき環境にある。
 一方で、そうやって最強のアプリケーションを作っても、デジタルの限界というかディスプレイというものの限界というか、思ったほど快適にはならなかった。本当に必要に迫られた、そしてある程度型の決まっている業務ならば、専用アプリによって劇的に生活が改善すると思うのだが、アイデア管理的なものは個人的には紙のメタファーから離れる必要があまりなく、つまり紙でやれるなら紙でいいという感じがある。
 今回作ったアプリケーションのうちだとActivityLogはかなり画期的に思えたが、今結局ライフログは紙のノートに書いている。後々の検索を考えるとデジタルでやった方がいいのだが、PCを開いていない時間が長くて更新しづらく、スマホアプリの環境を整えるかどうか考えないとなと思ったきりだ。形式がばらばらな古いライフログをこのアプリケーションに集めようかと考えたものの、実行に移していいか決めかねて二の足を踏んでいる。えいやとやるかもしれないし、やめておくかもしれない。今のところ6対4くらいの気持ちでいる。

 ツールを形にしてみることで、欲していたほどはそれが理想のものではないことが明らかになる。それは自力で開発していた時から実感していたことで、生成AIの力でより完成度の高いアプリケーションを作れるようになっても大して変わりがない。仰々しさが気になることもあるし、ツールの数の多さに自分が対応できなくなってくることもあるし、紙の良さが強調される結果になることもある。特に最近は紙をよく使っていて、「デジタルじゃなければやりにくいよな」と思っていたことの中には「ただそう思い込んでいただけ」のものが色々あることに気がついている。
 どういうツールを作ろうが結局は自分が実際に仕事をするということが重要であって、その労力自体は減らない。「困っていること」の解決と、「よりよいもの」の探求とは、実は根本的に性格が違う目的意識である。前者の達成は有意義で劇的であり仕事そのものが変化することもあるが、後者の試みはだいたい「思ったほどじゃなかった」に終わる。ツールができた瞬間は感動に包まれているが、それがその後五年十年使い続けられるアイデアであることは稀である(稀にはある)。
 今回作った6ツールのうち、まだ使う気があるのはActivitiyLogStickyBoardくらいだ。どのツールも失敗作ではないし、使ってみれば「よくできている」感じはあるが、しかし「なくてもいい」のである。確かに希望は叶った。ところがその希望自体にそれほど意味がなかった。

 ただ、本レベルの長文を執筆するとなるとやはりそれを支援する特別なアプリケーションが必要と感じる。現代の執筆は完全にデジタル世界の仕事であり、紙ではどうにもならない部分がある。そして個人性が左右する部分が大きく汎用アプリケーションでは痒いところに手が届かない。それについては6月から開発しているものがあるので、別途記事を書くつもりでいる。