記事2026/08/11

GTDのフローチャートを自分で作ってみる

 今更ながら、『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』(デビッド・アレン著、田口元監訳)を精読した。新装版でも全面改訂版でもない、2009年版のものだ。
 かなり前に一度読んだはずだが、ノートも取っていないし多分真剣に読めておらず(当時の環境と精神状態があまりにも悪かったため)、先日読んでやっと合点がいったようなことがちょこちょこあった。

 ちなみに今から読む人は当然新しい全面改訂版の方がいい――とはどうも言えないようだ。レビューを見るなどして判断が必要かもしれない。

自分流のフローチャートを作ってみる

 ここでは細かいことには触れないが、ワークフロー図についてだけちょっと考えたい。
 GTDワークフローの図というのはいろいろな人が再現していてそこらじゅうで見かけるが、いつ見てもどうにも納得しがたい感じがあった。自分の頭の動きと図の流れがマッチしていないのだ。GTDが自分に合わないのではなく、図がGTDを示すものとして自分に合っていない。

 それで本を改めてきちんと読んだ。GTDそのものについてはすんなり納得して、やはり図が合っていないと感じた。どう表現されれば自分は「GTDってこうだよね」と思えるのかを考えてみた。
 そして作ってみたのがこれ。

のらてつ製ワークフロー図

 ワークフローそのものは変えていないつもりだ。ただし、本に書いてあるのに図に含まれていない要素は追加した。右の方にある「チェックリスト」や「備忘録ファイル」なんかがそれである。これらに相当するものがないとGTDとして成り立たないと思うのだが、普通特にそうは思わないものなのかどうか。
 こうして自分で頭を働かせて流れを可視化してみると、そもそも5つのステップという表現自体的確なのか疑問だ。GTDは本当にそのように動いているのだろうか。「収集」→「処理」→「実行」の太い流れがまずあって、「整理」は流れの中に置いた柵に引っかかってしまうものを横方向に除けてまとめるようなもので、「レビュー」に至ってはそのプロセスの途中段階とかではなく全体の再実行(「気になるもの」入りの水の流し直し)の話であるように見える。それらは並べて語ることのできる「ステップ」なんだろうか。

 まあそのあたりのことは、GTDというものが世に出てからかなりの年月が経っているわけで既に語り尽くされていることだろう。いま世間に向けて疑問を呈したいとかではなく、単に本を読んだらそういう感想を抱いたというだけの話である。
 今回作った図も、別にこうであるべきとか言いたいのではなく、自分が納得するために自分で図を作ってみるべしという話に過ぎない。

「チェックリスト」について

 ちなみに、特に「チェックリスト」などが顕著だが、こういった名称も実態をいまいち示していない感じがするので自分が納得する言い方に換えたいところだ。それについては別の記事で検討する。
 なおここでの「チェックリスト」というのはチェックボックス付きのリストみたいなことではなく、トピックごとに考えを書き出しておくものくらいの意味になるだろう。p190に以下のように書いてある。

プロジェクトやイベント、関心のあることや、やるべきことに関して、漠然とした改善のためのアイデアが浮かんできたら、それらを随時まとめてチェックリストにする癖をつけておくといい。

 具体例として、「個人的な抱負」「仕事上の責任」「旅行用チェックリスト」「週次レビュー(でやるべきことリスト)」「重点的に取り組む分野」などが挙げられている。
 なおp203には週次レビューの一項目として「プロジェクト候補のチェックリストのレビュー」ということが書いてある。

 これは私個人の解釈だが、「高度」に関するものもすべてここに入るだろうし(実際、「高度」の項(p225)で語られている「重点的に取り組む分野」のリストが「チェックリスト」の例に含まれている)、公式のワークフロー図で「プロジェクトリスト」とセットにされている「プロジェクトの参考情報」なるものも本当はここに含めていいものではないかと思う。
 この存在をワークフローから省略するわけにはいかないだろう。

 というか、もしやこの「チェックリスト」を指して「プロジェクトの参考情報」と書いていたのだとすれば、それは書き方に無理があると言わざるを得ない。

「備忘録ファイル」について

 あと「備忘録ファイル」というのはそういう製品のことである。日本の半世紀前の情報整理本でも「ティクラー・ファイル(Tickler File)」として紹介されている。用意するフォルダの数から「43 Folders」と呼ばれることもある。それを再現したソフトウェアも過去にはあったようだ。

 弱点がなくもないが、しかし今でもかなり便利に使えるものではないだろうか。少なくとも、デジタルであろうがこのような仕組みは必要だと感じる。
 上のフローチャートだと「次にとるべき具体的な行動は?」という問いとの行き来としてしか表現していないが、実際にはもっと様々な用途があり、とにかく「後で見る/やる」ものの「後で」を指定するために使うものである。同じく日付を扱う「カレンダー」とは分けて考えるべきで、「カレンダー」は本当にその日時でなくてはならないものだけを書く「聖域」だが、備忘録ファイルにはなんでも突っ込んでいい。その日である必要はないがその辺で確認したいこと、というのを入れてしまってよい。
 全部を表現するとかえって混乱するので「次にとるべき具体的な行動は?」の問いを先送りすること"にすら"使えるというニュアンスでそこに置いてある。と言っても、考えるのが面倒な時にぽいぽい入れていいという話ではない。「来週行く○○の準備」みたいなものについて、今すぐ考えるのではなくもう少し近くなってから考えることにするということを指している。

 自分に通知を送るリマインダー機能自体は当たり前に活用されているとしても、セットしたそれらのリマインダーが整列している状態は必ずしも作られていない気がするし、作られていたとしてそれがひたすら文字でずらっと並んでいくのと物理的なモノとして順番に置いてあるのとではまた効果が違っている気がする。これについてはどのような形がいいかは人によるところが大きいだろう。

GTDというものについての所感

 著者が各ステップについて「ひとつひとつはきわめて常識的なものばかりだ」と語っている通り、GTDそのものについて何か異論を差し挟む余地というのはないような感じがする。そもそもGTDが対象として想定していない領域というのはあって、その部分については別の方法論が必要だよねということはもちろん言えるが(例えば文筆業のためのアイデアフローとか)、いわゆる「(個人の)仕事の流れ」としてはGTDで言われていることはあまりに真っ当であってどう変えられる可能性があるのかよくわからない。
 具体的な道具については方法論とは別に考えるべきで、例えば備忘録ファイルが時代遅れだと思ったらそれはデジタルの何かに変えればいいだけのことだ。

 ただしワークフローを示した図と5つのステップという捉え方については、わざわざ誤解を生ずる書き方をして混乱を招いてしまっているのではないかと思う。率直に言って全貌が正しく整理されていないように見える。巷に存在するGTD解説をいくら読んでもGTDのことはわからないのではないだろうか。みんなあれで納得しているんだろうか?
 といってそれらを無視した解説を書かれても説得力がない感じがしてしまうだろう。図とステップが一見素晴らしく整理されている風の見た目をしているからだ。
 まだ『ストレスフリーの仕事術』『ひとつ上のGTD ストレスフリーの整理術 実践編』は読んでいないから、読めば印象が変わるのかどうか。それらについての感想をちらちら見た感じではそうはならなそうではある。

 あと、今回一字一句漏らさずきっちり読んでいったわけだが、そうしてみると全体を通して有益な指摘が散りばめられていることに感動したものの、今まさに忙殺されていてしんどい人がこの本のこの作りで大切なことを全部読み取れるものだろうかと考えると首を傾げざるを得ない。実際、昔の私は無理だったのだと思う。
 具体的にどこがどうと指摘するのは難しいのだが、章立てが良くないというのか、まとまっていてほしい話があっちこっちに散らばって書いてあって混乱する。話の難易度は確かに初心者向けだが話の組み立てがやさしくない。そしてなんだか面倒くさいと思ってワークフローの図だけ見るとそこに落とし穴がある。図にないことが大事だからだ。

 いずれにしても今更の話なので自分以外の誰かに意味のある記事になったかわからないが、自分にとっては残しておくべき価値があると思ったので記事として形にした。